商業学校や商業専門学校には、レストランの女性従業員を育成するための「奉仕科」という専門コースがある。料理の知識やサービングのマナーだけでなく、歌や踊りもここで教えるという。
もっとも、韓国の「開かれた北朝鮮放送」(ラジオ)がかつて芸術分野に携わっていた脱北女性の話として伝えたところによると、商業大学の奉仕科は〝狭き門〟であり、幼いときから歌や踊りの英才教育を受けていなければ、選抜は適わないという。
またそれ以前に、本人の努力だけではどうにもならない、より厳しい条件をクリアしなければいけない。
「親の職業は何であるか」「過去、身内に反体制分子はいなかったか」など、出自や家庭環境を数十種類に分類した「出身成分」――平たく言えば、思想的な意味での「家柄」が良好とみなされなければならないのだ。
女性従業員の私生活
「家柄」が良く、容姿端麗で教養も備え、芸術の素養もある――。
まさに北朝鮮国家にとって「自慢の娘たち」と言えるが、海外における彼女らの勤務実態はと言えば、決して楽なものではない。
中国で取材の合間に何度か立ち寄った北朝鮮レストランで、24歳の女性従業員と顔見知りになったことがある。仮に朴さんと呼ぼう。