清原和博被告の覚醒剤はどこから来たのか? 対日シャブ密輸ルートの源流をたどる


私が北朝鮮製の覚せい剤と初めて対面したのは、2005年3月、中国・延辺朝鮮族自治州でのことである。

現場は、中朝国境を流れる豆満江(トゥマンガン)の川岸だった。

狭い川幅と浅い水深、冬には凍結した川面の上を歩いて渡れる豆満江だが、3月中旬ともなるとすでに氷が解け始めている。その中を、腰上まであるゴム製の防水ズボンをはいた北朝鮮の運び屋が、ブツを入れたビニール袋を手に、氷をザクザクとかき分けながら渡ってきた――。

北朝鮮側から持ち込まれたのは、北朝鮮で「オルム(氷)」と呼ばれる覚醒剤の一種。量はおよそ100グラムで、値段は3万5千元(当時のレートで4千230米ドル)ということだった。オルムは、その名の通り氷砂糖によく似た半透明の結晶の粒で、中国で密売される際には「氷毒(ピンドゥ)」と呼ばれる。アルミ箔の上で炙って気化させたものを、水パイプを通して吸引するのが一般的だ。

国家の財源

協力者のブローカーによれば、取引の仕組みは次のようなものだ。