在特会など「行動する保守」のヘイトスピーチ・デモと対峙してきたカウンター・レイシズムの活動はいま、特定の国および民族集団、あるいは在日外国人など少数者へのバッシングを目的とした出版物(ヘイト本)の抑制に向かっているという。それにしても一体なぜ、ヘイト本はこれほどまでに広まってしまったのか。野間易通氏と李策氏を迎え、出版業界の内幕から旧来リベラリズムの弱点、これから進むべき方向性までを話し合った。(デイリーNKジャパン編集長 高英起)
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ヘイト企画の内幕を明かす
李策(以下、李) 最近はヘイト本を書店に売らせない、図書館に置かせない活動に力を入れているそうですね。
野間易通(以下、野間) そうです。本屋がヘイト本を並べてるだけでぶーぶー言うてやってね。こういう本をいっぱい並べてうれしそうに売ってると、文句言う人間も出てきますよと。そういうことを知らしめて、一般人の間でのレギュレーション(規制)を確立する必要があると思ってるんです。
高英起(以下、高) レギュレーションと言っても、お上がメディアに介入するようなビッグブラザー的な規制とは違うわけでしょ。文句を言うことだって、言論の自由のうちなんだから。
野間 その通りです。その自由を行使しないと、おかしなものが野放しになる。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)が出て売れまくったのが約10年前のことです。当時、いわゆるリベラルな人たちはそれを見て「何でこんなものが……」と打ちひしがれ、忸怩たる思いを抱えながら黙っていた。文句を言って、レギュレーションをかけようとしなかったんです。その結果、レイシストをのさばらせてしまった。
李 なるほど。そしてその後、『マンガ嫌韓流』の便乗企画が色々と出てきました。その中に『別冊宝島 マンガ嫌韓流の真実 ザ・在日特権』(宝島社)という本があるわけですが、私はあそこに原稿を1本書いています。