鼎談-上-【野間易通+高英起+李策】ヘイト本はいかに蔓延したのか…社会の雰囲気を歪める出版の「広告主義」


 でも、あれからヘイトスピーチが社会の表面に浮いてくるまでには、少し時間がかかったでしょう。しばらくは少女時代やKARAなんかの露出が増えて、むしろメイド・イン・コリアが幅を利かせていた。ネトウヨとしたら、それがまた気に入らずにストレスを溜めていたんだろうけど。

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デイリーNKジャパン編集長 高英起(プロフィール)

 そうでしょうね。その一方で、出版不況がどんどん進行している状況があった。このふたつの要素が、ある時点で領土問題や歴史認識問題を媒介にして交わった。そこからヘイト本の量産が加速した。私はそんな風に見ています。

「特捜検察の調書といっしょ」

野間 この機会に、ヘイト本の企画がどうやって進行するのか聞かせてくれませんか。

 書籍より雑誌の方がわかりやすいでしょう。たとえば去年の夏、ある週刊誌が「石原伸晃環境相が外遊先で公務をほったらかしてシュノーケリングしていた」というネタを取り上げたんですが、これがまったく読者にウケず売上がガタ落ちしたそうです。泡を食った編集長が何をしたかというと、記者を4人も韓国に送りこんで、「何でもいいから韓国を叩けるネタを集めてこい」とハッパをかけた。