広く国際情勢を俯瞰してみれば、世界の不確実性は10年前に比べ大きく増している。
テロの猛威は止む気配を見せず、いずれ誰かが大量破壊兵器を使おうと試みるだろう。いま、北朝鮮とテロリストとの間に接点が見られるわけではない。しかし、北朝鮮と米中などとの対立が深まれば、欧米や中国を憎悪する勢力が、北朝鮮に接触を試みる可能性はある。
米中などにとって、放置できないリスクだ。
これまで、米中は北朝鮮問題を互いに押し付けあう傾向が見られた。しかしこれから徐々に、尖閣諸島や南沙諸島をめぐる中国と日米の軍事的な対立が変数として働く可能性がある。北朝鮮の暴走にいよいよ介入の必要が増せば、ライバルより先に自分が動こうとするはずだからだ。
そして、経済的に成熟しつつある韓国もまた、いつまでもその繁栄が約束されているわけではない。北の暴挙の前で「行動すべき時が近づいている」との声が上がれば、否定できる人は時とともに少なくなっていく。
八方ふさがりの状況
つまり、北朝鮮を取り巻く問題の現実とは、これまで考えられてきた以上に、何かを決断するための時間的猶予が少ないということだ。