北のミサイル潜水艦開発(下)自衛隊と対峙


考えられるのは、やはり対米戦略である。弾道ミサイルを搭載して日本列島を迂回し、太平洋から隠密裏に米国本土をねらおうというものだ。

もっとも、それがただちに可能になるわけではない。実現するには、技術的に様々な制約がある(関連記事)。また、「米国やロシアなどすでに弾道ミサイル潜水艦を運用している国々は、護衛とおとり役を兼ねた攻撃型潜水艦を必ず随伴させている。北朝鮮はそうした潜水艦を持っておらず、現実的な脅威になるかは疑問」(自衛隊OB)との指摘もある。

ただ、北朝鮮はこれまでも、経済的・技術的な制約をものともせず、新たな危機をつくり出してきた。それにミサイル潜水艦の太平洋進出が上手くいくか否かにかかわらず、そうした取組みが続けば、いずれ米国は神経を尖らせることになるだろう。

危機のエスカレーション

近年、朝鮮半島において最も危険なホットポイント(発火点)となってきたのは、南北が鋭く対峙する半島西側の海域だ。天安艦爆沈事件や延坪島砲撃事件は、全面戦争に発展してもおかしくない出来事だった。