ある在日3世の自画像「学歴で自分を飾る選択肢なんかないと思っていた」


特権は「ない」と断言しているが、それを信じるかどうかは相手次第。そもそも、何かが「存在しない」ことを証明するのは不可能だ。

つまるところ、自分がいままでどういった生き方をしてきたかを話すことで、納得してもらうしかない。

私は1972年、在日朝鮮人3世(現在は韓国籍)として東京で生まれ、小学校から大学までずっと民族教育を受けた。保育園もキリスト教会系のリベラルなところに通ったため、そもそも出自を理由とするイジメなどとは縁遠い環境にあったとも言える。

しかしいま思えば、民族差別とまったく無縁の少年時代を過ごしたわけでもなかった。

「朝鮮人は、医者か弁護士にでもならなければ成功できない」

中学生ぐらいのとき、親の世代である在日2世たちから言い聞かせられた言葉だ。かつての日本社会には、就職における国籍差別が厳然と存在していた。そのため在日は腕一本でのし上がるしかなく、最も強い武器となるのが国家資格である、というわけだ。