韓国リゾート飲み込む中国マネー(上)


韓国最大のリゾート地、済州島。その海の玄関口である済州港の大型船用埠頭には週に数回、約3000人の中国人観光客を乗せた豪華客船が横付けする。午前8時、船から一斉に吐き出された観光客たちは、待ち構えていた数十台の観光バスに分乗し、香川県とほぼ同じ広さの島内をくまなく観て回る。一方、済州国際空港も中国人団体客に?占拠?され、ソウルの金浦空港をも上回るほどの混雑ぶりだ。

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豪華客船から上陸する中国人観光客たち(撮影:権徹)

昨年、済州島を訪問した中国人は約181万人だったが、今年は9月末の時点で200万人を突破。年末には230万人に達すると見込まれている。

しかし、この降ってわいたような?特需?の中でも、現地の人々の表情は意外にも浮かない。島の中心地・済州市の繁華街で料理店を営む男性が苦々しげに言う。

「中国人観光客はかなりの部分が、中国資本のホテルに泊まり、中国料理店で食事をして帰ってしまう。いくら観光客が来たって、地元にカネが落ちなければ何の意味もない」

地価高騰に住民が悲鳴

済州島はいま、中国マネーによる蚕食が急速に進んでいる。繁華街や風光明媚な景勝地周辺の土地が中国資本によって次々に買収され、ホテルなど観光施設のほか、移住者向けの高級ヴィラが続々と建てられているのだ。

きっかけとなったのは、2010年2月施行の「不動産投資移民制度」である。