遂に捉えられた北の「弱点」


日本人拉致も、そのような構図で起きたと言うことができる。北朝鮮の工作機関は、韓国にスパイ工作をしかけるために、拉致した日本人の身分を利用していた。彼らにとっては、ほかの方法で韓国に工作員を浸透させるよりも、無防備な日本人を拉致するほうが簡単だったのだろう。

仮に、北朝鮮が民主主義国家だったなら、日本人拉致が露呈した場合のリスクをもっと慎重に考えたはずだ。拉致がバレれば、日本との関係は当然、険悪になる。そして貿易が細るようなことになれば経済情勢が悪化し、政府は国民からの猛烈な批判にさらされる。そのようなリスクを検討した末に、拉致の選択肢を封印したはずなのだ。

北朝鮮は、そのような考え方をしない国なのである。

今後、北朝鮮が日本人拉致を再発させることがないとしても、別の形で日本に被害が及ぶ可能性は捨てきれない。たとえば、北朝鮮と韓国の戦争だ。日本の間近で、日本の重要な貿易相手国である韓国と核武装した北朝鮮が戦争に突入すれば、経済への影響は避けられないだろう。